
- 会社名
- 株式会社フィジオス
- 所在地
- 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ2F
- 資本金
- 7900万円
- 事業内容
- ・Webサービスの開発・運営
・iPhone / iPod touchアプリケーションの開発・運営
- 設立
- 2009年1月30日
- ビジョン
- インタラクティブな表現をすべての人に
- 売上
- 2010年度決算 非公開
2009年度決算 非公開
2008年度決算 非公開
- 株式公開
- 未上場
- 採用計画
- 2011年度新卒採用 未定
2012年度新卒採用 未定
2011年度中途採用 未定
- URL
- コーポレートサイト
http://www.phyzios.com/
- 企業キャッチ
- さわっておもしろい、
つくっておもしろい、みせておもしろい





フィジオス:小倉豪放CTO「インタラクティブな表現を、すべての人に」世界視野のエンターテインメント
本郷キャンパス内にオフィスを構える、東京大学のベンチャー企業フィジオス。運営するウェブサイト「PHYZIOS Studio(フィジオス スタジオ)」は世界各国のユーザがアクセスする“グローバル・エンターテイメント”だ。自らもクリエーターとして活躍し、海外を視野に事業を進める小倉豪放CTO(元代表取締役社長兼CEO)に、その狙いとビジョンを聞いた。
−御社の主な事業内容は。
- 小倉:
- 「フィジオス スタジオ」の開発・運営です。「フィジオス スタジオ」はブラウザーやiPhone, iPad上で絵を描いて、公開できるWebサービスです。と言うと普通ですが、ちょっと違うのは絵の中に物理の法則が働いていて、「描いた絵が動く」ところです。
パレットに絵の具の代わりに水、石、木、火などの素材が並んでいるところを想像してください。こうした素材はキャンバスに描かれたその瞬間から、水なら水、石なら石として、それぞれ衝突や変形をしながらリアルに動き出します。
Webサービスですので、自分の作品を公開してコメントをもらったり、逆に、他人の作品を遊んでコメントしたり、ということが行われています。既に世界各国のユーザがいろんな作品を公開してくれていますので、ちょっとした国際交流の場になっています。
−物理の法則は御社にとって強みですね。
- 小倉:
- 物理の法則は世界共通です。「石が転がる、火が木とぶつかると木が燃える、火の前に壁をつくると火がそこで止まる。」などのルールは、いちいち覚える必要がありません。それは、国家、民族、老若男女、そして宗教……そうしたものを超越した、誰もが知っているルールです。
「絵を動かす」というツールは他にもありますが、ルールが複雑だったり、マニュアルを読む必要があったりするので、ほぼ例外なく敷居が高くなっています。
そこで自分たちは、誰もが知っているルールである、物理をルールにすれば敷居を下げられつつ、世界中の人が参加するようなインタラクティブなUGC(ユーザ作成型コンテンツ)サイトができるのではないかと考えました。もちろん、自分らが物理シミュレーション技術に強いという前提がありましたが。
−ターゲットも海外ですか。
- 小倉:
- はい、会社設立当初からずっと海外、とくに米国を意識しております。実際に米国、欧州のユーザが数多く来ています。また、中華圏のユーザも相当数来てくれています。
5月に有料版アートピース(「フィジオス スタジオ」内部のコンテンツ)の販売を開始して、課金化を進めました。その最初の製品である「スライムサプリセット」は、90%近くが海外で売れました。「スライム」のデザイナーはイギリスで活躍していた人が担当しておりますが、プロのデザイナーさんならば気づくと思いますが、色遣いが日本っぽくないのがわかると思います。
事業計画のレベルでいうと、少子高齢化により縮小する内需よりも、人口が増加傾向(従って子供の数も増加傾向)にある海外により目を向けています。今年からインターネット人口も中国語が日本語を超えると言われていますし、悲しい話ですが、同様の傾向は他の面でもどんどん加速すると思います。
ですので、「物理の法則は世界共通」という強みを生かして、世界に目を向けていきたいと思います。
−起業のきっかけは。
- 小倉:
- フィジオスは、同じ東大のベンチャー企業である「プロメテック・ソフトウェア」のゲーム事業部のメンバーが独立して起業しました。プロメテックという会社は、物理シミュレーション技術の開発と解析を主な事業としており、例えば原子炉の水流をシミュレーションするなど、産業界向けの事業を展開しております。そうしたシミュレーション技術をエンターテインメントに利用することを事業としていたのがゲーム事業部でした。
今現在、フィジオスのチーフアーキテクトを務める須藤が、当時遊び心で書いたスクラッチ(プログラムの小片)が面白かったので、それを国内外のカンファレンスで発表したところ、大きな反響がありました。同時にその技術を使ったiPhoneのアプリケーションの販売も順調だったことで、ゲーム事業部の理念や実績がどんどん作られていきました。
プロメテックの経営陣も実績とともに応援してくれるようになり、エンジニアリング事業とエンターテインメント事業を分けようという動きもあってスピンオフにつながりました。
−起業から1年半で世界中から認知されたのですね。その秘訣(ひけつ)は。
- 小倉:
- まず、Apple社のAppStore(iTunes内部のiPhoneアプリケーション販売サイト)のローンチの時期にアプリケーションを全世界に販売できたことは、認知される上で非常に大きかったと思います。プロメテックと提携先のハドソン様には本当に感謝しています。
その後続いたフィジオスのiPhoneアプリケーションはどれも、ものすごく反響がありました。開発したiPhoneアプリケーションは7割が日本の総合ランキングの10位以内に入った経緯があります。また、海外でも、よくランキングに入りました。
「フィジオス スカルプター」というアプリケーションはイタリアの総合ランキングでトップを取っています。これは画面をたたいて木を削る彫刻のiPhoneアプリケーションです。彫刻シミュレーションも広義に解釈すれば物理シミュレーションですね。「なんでイタリアなの?」という質問には、「ミケランジェロのいた国だからでは。」と答えることにしています。
iPhoneのタッチパネルと加速度センサーは物理シミュレーションと相性がいいのです。体験しないとわかりませんが、マウスで絵を描くことと、キャンバスをタッチして描くことは全然違います。また、キャンバスを傾けると、描いた絵が連動して動くようなことも、新しい体験として認知されてきました。
秘訣を言えといわれても、運が良かったからとしか返答できません。
iPhone, iPadのようなタッチパネルが世界規模で普及して、自分たちの強みを生かせる環境が整ってきたこと。ユーザ、提携会社、投資家、学内関係者いずれにも、理念に賛同して協力してくれる人々がいてくれたことが大きかったと思います。本当に感謝しております。
−今後のビジョンは。
- 小倉:
- 「インタラクティブな表現を、すべての人に」です。「フィジオス スタジオ」をライトユーザに使ってもらうため、ゲームやアートの制作という目的よりももっと日常的な目的に使えるようにしていきたいと、考えています。その1つが、コミュニケーションツールです。
手持ちの写真に書き込みを入れて、デコレーションするようなことは今現在も行われておりますが、そこから一歩進めて、例えば、書いた字や描いたハートに振付けをして踊らせるとか。あるいは、文中に絵文字として置かれた爆弾を触ると爆発して、周囲の文章が焼けこげるとか。まだ、実験段階なので詳しくは言えませんが、フォントのテキスト中心のコミュニケーションから、もう少し踏み込んだ、デジタル手書き的な表現が提案できればと考えています。
自分が言うのも何ですが、今サービスを展開しているベータ版は荒削りです。まだまだ簡単にできますし、どんどん敷居を下げていきたいと思います。
中長期的には、ユーザが作成したアートピースを「フィジオス スタジオ」内部で販売することもやっていくつもりです。アプリケーションを作成するのは大変な作業ですが、アートピースは絵素材とスクリプトで簡単に作れます。クリエーターがチョイネタを簡単に販売できるようなところにしていきたいです。
−起業や就職を目指す若者へのメッセージを。
- 小倉:
- 私自身のことを話しますと、プロメテックに入る前、セガとマイクロソフトに合計14年、勤務しておりました。それから丸々1年休みました。
大きな会社で忙しい日々を送っていると、「自分がやりたいことはこれではないのでは」という思いが強くなってきたのです。そこで1年間、自分が何をやりたくて、どういうことができるのか、社会にどういうニーズがあるのかを見極めようと考えました。
エンターテインメント系以外の業種や、海外も含めていろんな会社を見て回りました。今でもプログラムは書きますので、デモを制作して見せながら、意見を聞いて回りました。この時は楽しくもあり、また、苦しくもありました。
まず、誰にも負けないものは何なのかを見極めるために、できないことを次々と認めていく作業は結構つらかったです。
また、自分が本当にやりたいことを見つけるためには、自分自身がピュアであり続けなければなりません。誘惑に左右されていると、やりたいことが見えなくなります。そういう状態で活動しても、エンドレスな自分探しになりかねません。また、社会のニーズを知るためには、相当数いろんなところを見てまわる必要があります。
そうして、たどりついた1つがプロメテックでした。結果的に就職後に分社化されて起業ということになったわけですが、起業のルーツはあの空白の期間につながっていると思います。
「自分がやりたいこと、自分がやれること、社会との接点」を真剣に探すことは必ずやった方がいいと思います。そうすることで自分の内側から強い力が出て来るからです。力というのは、事業を押し進めていく力もそうですが、プレッシャーに耐えるような力も含まれます。
逆に、3つのうちどれか1つでも放置していると、いつか限界が来ると思います。
−求めている人材は。
- 小倉:
- しばしば会社では、やる気やパフォーマンスが求められますが、私はそうしたことは枝葉だと思います。むしろ先ほど言った3つを真剣に探している人は、やる気やパフォーマンスが、自然と発揮されていると思います。
クリエーターでケタ違いにパワーのある人は、みんなピュアで、やりたいことをとことんやりつつ、自分ができることとできないことの境界もはっきりしています。「この部分は負けないけれど、これはダメだ」と素直に認める。すごくエゴイスティックな部分と、か弱い部分が内在しています。また、何が求められているかを常に真剣に考えています。幸運にも私の周りにはそういった先輩が多くいました。
自分もそうなりたいし、そういう人と一緒に働きたいです。
もちろん、全ての職種に当てはまるとは思いませんが。
−お客様へのアピールを。
- 小倉:
- レストランでおいしい料理を食べようとするときや、旅行を楽しもうとするときには、自分から主体的に行動することで流れが変わり、思いもよらない面白さを経験することがあると思います。フィジオスでは、提供されるコンテンツをエンドユーザが消費するということだけで終わらずに、ユーザがコンテンツやコミュニティに主体的にかかわっていくことで、より面白い体験を得られるようなサービスを目指しています。かなりのチャレンジであることは否めません。まだまだ未知の領域で、いろんな試行錯誤が必要だと考えています。ぜひご意見をいただければと思います。












